満天の星空に

「ほらっ!オレらも帰るよ季里っ!」


「う…ん……。」


理穂も行っちゃったし……頷くことしかできなくなったあたしは、ぷくっと頬を膨らませて、口を尖らせた。

そんなあたしを見て、あたしよりちょびーっと背の高い悠は、あたしの頭をポンポンと撫でながら言った。


「カラオケなら今度休みの日に行けばいいじゃん?
だから機嫌直そ?」


「………うん」


休みの日に行こうとしたら止めるくせに。と言うとまた長くなりそうだったから、その言葉を飲み込んだ。


「んじゃ、帰るか」


スッと悠は左手をあたしに差し出した。


「……ん」


あたしも右手を悠に差し出した。


いつも、帰る時はこうやって手を繋いで帰るのが当たり前になっているあたしたち。


まわりから見れば、恋人同士に見えるのかな。


高校に入ったばっかの時、ジロジロ見られたっけ。


別に、付き合ってるとかそんなことは全然ないのに。



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