【短編】Little Kiss Magic~キスから始まる恋~
彼女の瞳に大粒の涙が溢れ始めた。

驚いて確認するように、まじまじと彼女を見つめる。

「ど…どうしたの?そんなに問題難しかった?」

何をとんちんかんな事を言ってるんだろう僕は。

でも、彼女の涙の理由がわからない。



何故?



まさか、彼女は俺の言葉で傷ついた?



まさか……。



自分の言葉が彼女を傷つけるなんて思いもしなかった。

彼女はもてるし、僕の存在なんて宿題を教えてくれるクラスメイトくらいだろうから。

でも、彼女の唇から出てきたのは信じられない言葉だった。


「ごめん…なさっ…。あたし、浅井君の迷惑も考えないで毎朝教えてもらって…浅井君に迷惑かけてしまって…。本当にごめんなさい。」


彼女の瞳からポロポロと大粒の涙が流れ出して止まらなかった。


何で泣くんだ?


これじゃ僕が彼女を泣かしているみたいじゃないか。



いったいどうしたらいいんだ。





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