雨恋-amakoi-
「あっ、瀬南ッ!」
親友の多田繭里【タダマユリ】が私のもとへ駆け寄って来る。
「繭里ッ!」
わざとらしく明るく振る舞った。
「テンションが高い時の瀬南っていつもなんかある時だよー。どうかした?」
心配の面持ちで繭里が私を見つめてきた。
「別に何にもないよ?本当っっにないない!」
目を繭里から反らした。
気付かれたくなかったからだ。
「…本当?だったらいいけど、何かあったらいつでも相談相手になるよ?」
「…う、うん!!ありがとね。でも大丈夫大丈夫!!」
誰にもこんなくだらない事で落ち込んでるなんて言う価値もないよ…。
はぁ~~……。