雨恋-amakoi-
「……瀬南ッ!」
私は目をゆっくりと開いた。
保健室と思われる部屋に私は寝ていた。
名前を呼んだのは繭里だった。
ごめんね…。心配かけちゃった。
「…繭里…ごめん。本当にごめんね…」
私は必死に繭里に謝っていた。
繭里の目には涙が溜まっていたからだ。
今にも泣きそうな繭里…。
繭里に心配をかけるのは…嫌だ…。
不快な感じがして繭里に申し訳なかった。
「…大丈夫だからね。
…瀬南…私がもっと気づいてあげれたら…こんな傷しなかったのにね…」
涙はもう繭里の頬を濡らしていた。
頬を伝う一筋の涙。
私は繭里を泣かせた。
そんな事を思っていた。