女王様とお調子者
**恋の花が咲いた頃**
『ちょっと…!』
ガチャンッ!
言いかけながらも途中で鍵がかかった音。
外から聞こえる3人の笑い声。
そして……
「さ~て、やっと2人きりだね?」
チャラ男と2人きりなんて最悪!
『あたし帰りたいんで出して下さい!』
掴まれたままの腕を再び離させようと抵抗する。
それなのに…
「まだ帰さないよ?」
ニヤッと笑ったのが、薄暗い中でも分かった。
それを見て身体が何故か震えた。
「あっれ~?震えてるよ?寒い?」
確かに2月なだけあって体育倉庫の中は底冷えする程に寒い。
だけど、この震えはこの寒さのせいじゃない…。
「そんなに寒いなら…俺が温めてあげるよ…」
『はっ…キャッ!』
腕を急にグイッと引っ張られてバランスを崩したあたしは転んでしまった。
「ごめん~大丈夫~?ほらっ…」
そう言って手をチャラ男が手を出して来たけど、明らかにわざと。
あたしはそのまま後ずさる。