女王様とお調子者
**恋の花が咲いた頃**
「図書室来るの久しぶり~」
「俺なんか入学した時の校内見学以来かも…」
放課後、図書室に向かう廊下を4人で歩いてる。
あたしは…1年ぶりだ。
元々、図書室なんてしょっちゅう行くような所でも無いけど、“あの日”以来意識的に行かないよに、出来るだけ通らないようにしてた。
当番の期間はまだ残ってたけど、他の図書委員に無理矢理代わって貰った。
だって…教室で会うのすら辛いのに、図書室で2人きりになったら…って考えたら普通にしてられる自信があの時のあたしには無かったから…。
「梨優?」
『…えっ!?』
佐伯の声にはっとする。
完全に自分の世界入ってた…。
「大丈夫?図書室着いたけど…」
いつの間にか図書室の前。
心配そうに見つめてくる佐伯。
その表情になんとも言えない気持ちになる。
『な、何が?さっさとやって終わらせるわよ』
そんな気持ちを振り払うように素っ気なく言って図書室の扉を開けた。