女王様とお調子者 **恋の花が咲いた頃**


『だ~から、そこはこの公式だってば!』

「あ~そっか」

「里中、んな怒んなよ~!」


『あんたが覚えないからでしょ!っていうか何であたしがあんたにまで教えなきゃなんないのよ!!』

「しょうがねーだろ!龍之介が連れて行かれたんだから…」


図書室に入る寸前に3年生だと思われる女子に呼び止められ、一緒に何処か行ってしまった佐伯。


「佐伯くんって上級生にもモテるんだねぇ~」

「みたいだな。俺には負けるけど!」

「いや、普通に佐伯くんの方がモテるでしょ」


鈴木の要らないモテるアピール。

向日葵にヤキモチでも妬かせたかったのかもしれないけど、無駄だから。

だって向日葵だし。

それより…


「あんた逹さっさと問題解きなさいよ!」

「うわぁ~!ごめん!」


そう言って急いで問題に取り掛かる向日葵。


「さっきから何キレてんだよ…」


不満そうな鈴木を無言で睨む。


「…解けば良いんだろ…」


分かってんなら最初からちゃんとやりなさいよ!


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