女王様とお調子者
**恋の花が咲いた頃**
『ちょっと…佐伯!!』
「あ…ごめん!」
靴箱まで来たところで佐伯に叫ぶ。
だってそのまま通り過ぎそうだったし。
手を離して貰い、靴を履き替える。
「ごめん…送ってくから帰ろう?」
困ったように笑って言う佐伯。
『…うん……』
いつもなら『送りとか要らないし!』位言うあたし。
だけど今日はそんな気分にならない。
今日の佐伯は謎。
いや、いつもよく分かんないけど、今日はなんていうか…急に怒ってみたり、悲しそうな顔してみたり…。
本当に読めない…。
いつもは煩い位喋りながら帰る癖に、今日は黙ったままだし…。