女王様とお調子者
**恋の花が咲いた頃**
「ふ~ん…」
やっぱり不機嫌っぽい…。
『ねぇ…怒ってる?』
「えっ…怒っては…無いよ?」
何…その間と疑問系…。
『…ふ~ん』
なんかムカついたからそれだけ言った。
その後も沈黙が続いたまま、いつの間にか家の前に着いた。
『じゃあ…』
そう言ってから家の門に手をかける。
「あ、梨優!」
そんな、佐伯の呼ぶ声に振り返る。
『何?』
「あのさ…まだ梨優って……やっぱり良いや!」
『はぁ~?』
「呼び止めてごめん!また明日ね~!!」
そう言っていつものように元気良く手を振ると、足早に行ってしまった。
『…意味分かんない』
去っていく後ろ姿を見ながらそう呟いてから、家に入った。
佐伯が何を聞こうとしたのかなんて、たいして気にも止めなかった…。