女王様とお調子者 **恋の花が咲いた頃**

「ふ~ん…」


やっぱり不機嫌っぽい…。


『ねぇ…怒ってる?』

「えっ…怒っては…無いよ?」


何…その間と疑問系…。


『…ふ~ん』


なんかムカついたからそれだけ言った。

その後も沈黙が続いたまま、いつの間にか家の前に着いた。

『じゃあ…』


そう言ってから家の門に手をかける。


「あ、梨優!」


そんな、佐伯の呼ぶ声に振り返る。


『何?』

「あのさ…まだ梨優って……やっぱり良いや!」

『はぁ~?』

「呼び止めてごめん!また明日ね~!!」


そう言っていつものように元気良く手を振ると、足早に行ってしまった。


『…意味分かんない』


去っていく後ろ姿を見ながらそう呟いてから、家に入った。

佐伯が何を聞こうとしたのかなんて、たいして気にも止めなかった…。



< 136 / 186 >

この作品をシェア

pagetop