女王様とお調子者 **恋の花が咲いた頃**

テスト中は出席番号順。

あたしは1番後ろ。
その2つ前の席の佐伯があたしを真っ直ぐ見ていた…。

多分数秒だったと思うけど、まるで時間が止まったように感じた。


「前向け~!テスト配るぞ~!」


「うわ~!多分俺終わったな…」

「マジヤバいんだけど~!!」


周りからざわざわとそんな声が上がる。

その後前を向いた佐伯にほっとする。

席が前じゃなくて良かった…。


そう思うと同時に、この間、1人分の距離があたし達にはあるのか…なんて事を思ってしまう。


キーンコーンカーンコーン♪


「後ろに回せ~!」


チャイムの音にはっとする。


何考えてんのあたし!

テストに集中しないと!!


前から回って来たテスト用紙を受け取り、テストだけに集中しようと、問題に取り掛かった…。



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