女王様とお調子者
**恋の花が咲いた頃**
『…何?』
深刻な声の佐伯にあたしは聞く。
「…俺ってさ…モテるじゃん?」
『はい?はっ!?』
こいつ…バカじゃないの!?
『はぁ…。そんな事言うためならあたし帰るから』
再び踵を返そうとする。
「でも…退屈だった…」
『え…?』
退屈…?
「小学校の後半から背が急に伸びて来て中学に上がる頃には、女の子が寄って来るようになった。最初はもちろん嬉しかった。でも段々…」
淡々と言ってる佐伯の表情があたしに背を向けてるせいで分からない。
何故かあたしも動けなかった。