女王様とお調子者
**恋の花が咲いた頃**
「その子がさ、思い詰めたような顔してて…ゴミ箱に何か捨てたんだ…」
ゴミ箱…?
「そしたら雨降ってきて、濡れるし普通なら屋上から出ようと思うんだけど…」
『だけど…?』
「…その女の子から目を離せなかった。声を張り上げて泣くその子をみたら、感じた事の無い、なんとも言えない気持ちになって、その子が居なくなるまでずっと見つめてた…」
屋上…
ゴミ箱…
雨…
思い当たる事…
だけどまさか…。
「…その日からその子とすれ違う度に意識した。いつの間にか目で追ってたんだよな…。だから気付いた…普通にしてるようで時々切なそうな顔を見せるその子に…」
屋上に来て初めて佐伯がこちらを振り向いた。