【完結】しゅがぁLOVE
「すんませんっ!」
「それでも普通じゃないだろ」
煩いな!
男は細かいとこをいつまでも気にしてちゃいけないんだよっ。
言い返すと今度は睨まれそうだったから、仕方なく自販機に視線を戻す。
今こそ買うべき時……!
スっと二つのボタンに人差し指をおいて、
せーのっ で押した。
ーピッ
いや、押そうとしたのに。
なんで、決定しました♪ みたいな音が自販機さんから鳴ってんのかな。
あたし耳悪くなったかな。
いやいや、でも聴力は並外れてるはずなんだけどな…。
「自販機で何迷ってんの?」
そう言いながら、河部礼央はしゃがみ込んでジュース取り出し口から出てきた、ブラックコーヒーを取り出した。
……ちょっと待て。
冷静に分析すると、さあ押そうって息を吸い込んだとき、隣から伸びてきた手がボタンを押した。
つまり、河部礼央の手が、自販機のボタンを押した、と。
……ふざけんなぁあぁ!!
「おいこらあんたッ!あたしの120円をどうしてくれんだよッ?あぁ!?」
状況を理解したあたしは、河部礼央の胸ぐらを掴んで叫んでいた。