【完結】しゅがぁLOVE
「…悩んでる方が悪いんじゃん」
一瞬驚いていたソイツは、すぐにまた無表情に戻ってボソっと呟く。
はっあぁぁ?
「悩んでいようと押すのが悪いに決まってんじゃん!あんたにゃ常識がないんか!?」
ジュースを無駄にされた怒りは恐い。
なんて、誰が言ってたんだっけ。
胸ぐらを掴んだまま、その手をブンブンと振り回す。
今度は眉間に皺を寄せているのが見えたけど、もう何も恐くない。
「てめーなんか礼央だ礼央!呼び捨てで十分だっ」
「は?なにあんた…」
さすがに困惑するのも当たり前だった。
礼央はいきなり呼び捨ての刑にされたため、眉間の皺をさらに深くする。
「とにかくあたしの120円を…
「おーい、佐倉ぁ」
誰だよあたしの怒りを遮るのは!
後ろの方からしたおじさん声に振り向くと、英語担当でもある担任の姿。
「なに!」
「お前追試決定だからなー。追試受かんねーと進級危ないぞー」
軽々しく言い放ち、ハッハッハッハ、なんて笑いながら去っていくおじさんを、憎らしく思う余裕すらなかった。
…進級、危ないって?
掴んでいた礼央の制服を思わず離す。