黒いスーツの王子様
ゆっくりと閉まるドアが‥
無性にスローに見えた。


そして

しばらくドアを見つめ
リビングに戻ると…



さっきまで希がいたことが

まるで幻みたいな・・


そんな気がして
堪らなくなった。





俺はそのぽっかりと開いた空間でタバコに火をつけ、

ぼーっとしたあと
仕事へ向かった。




いつもは、玄関で俺を見送る
希の姿は今日はない。


やる気がでない…

あいつが心配…



そんな気持ちの中、
とぼとぼと仕事へ向かうと‥

もう希に会えないような気もして、胸が苦しくなった・・






希‥


.
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