アナタがいたから
「温かいな……君は、誰?どうしてこんな場所にいるの?」
「私は榊木凛、この世界の人間じゃないの。この場所に居る理由は……迷子になったからよ」
「アハハ、迷子か。そうだね、そうでなければこの場所に誰かが連れてくるわけが無い」
「もう!笑わないでよ!22歳にもなって迷子だなんて恥かしいわ……」
「知らない場所に来たんだ。迷子にもなるだろう」
とても優しい笑顔を向けて言うその人物は私の頬を懐かしむように撫でて聞いてきた。
「凛はこの世界の人間じゃないって言ったね?」
「うん、私にも良く分らないけど召喚されたらしいの。この世界に……皆は異世界の住人って私の事を言うけど私にとっては貴方達の方が異世界の人なのよ……」
「異世界の……そうか、光麗を呼び寄せたんだね……」
「光麗……そう、そんな事を言ってた。ねぇ、光麗って何?」
「光麗とは我が一族を救い、我が一族の長となる者のことだ……」
梟さんの話は私を驚かせ、思わず私は首を振る。
「お、長って!救うって何?私はただの教育実習生で何も出来ないわ!」
「その昔、我等を救った異世界の民が居た。その民はどうしても異世界に帰りたいと願うようになり、我等一族がとめるのを聞かず帰ることになる……だが、その光麗は去り際に一言残した」
「な、何て?」
「私が戻らぬ時は私の名を持って私を召喚せよ。私がたとえ息絶えていようと私の一族の光麗がこの地に降り立つだろう……」
「い、一族って……わ、私の事?そんな事聞いてない……」
俯く私の肩に手を置いた梟さんはその手を私のブラウスのボタンへともっていき、スーツのブラウスのボタンを2つほど外した。
「え?ちょ、何を……きゃ!」
梟さんの両手でブラウスが開かれ、私の胸元があらわになって私は真っ赤になって必死で胸元を隠そうとしたが、梟さんはの手に阻まれる。
「大丈夫、何もしない……」
「何かするしないの問題じゃなくって!は、恥かし……あっ!」
頬だけでなく恥かしさの余り、ほんのりと色付いた私の体は私の胸元に痣を浮き上がらせ、梟さんはその痣をそっと指でなぞった。
< 26 / 49 >

この作品をシェア

pagetop