あっぷるティ

「望月‐」

「な、何?」

呼ばれて近寄ってみると、渡されたのは一枚の紙。

「これ、池内に渡しといてくれる?」

「え?」

渡された紙の内容を見てみると、それは欠席者へ渡すようになっている手紙だった。

「なんで俺が…?」

「え?」

俺が渡さなければならない意味が解らず、質問してみると、逆に意味が解らない、と言っているように、首を傾げられた。

「だってあんた、池内と仲良いじゃん」

予想もしていなかった返答に、思わず大声ではぁ!?と叫んでしまった。
それ程驚いたのだ。

「挨拶だってしてるしさ。皆言ってるよ?」

「いや、それは…」

「じゃ、そ‐いう事だから、じゃ‐ね‐」

あっちから勝手に挨拶をしてくるだけで…と言おうとしたが、バッサリと遮られてしまった。
女とは時に強引な生き物だ…。

ふと肩に手が置かれ、振り向いてみると、相川が親指を立てて俺に突きつけてきいた。

「やったね☆」

「やったね☆…じゃね‐よ!!」

相川に向かって大声で叫ぶも、ごっめ‐ん☆と笑いながら軽く流されてしまう。
はぁ、と小さな溜め息をついて、俺は仕方なく帰る準備をするのだった。
 
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