あっぷるティ

「で、」

俺は今、渡された地図を頼りに、池内の家へと向かっている。

「なんでお前まで付いてくるんだよ…!」

「えぇ‐?良ぃじゃん、ひろりんの家、気になるしさ♪」

横では、学生鞄を抱えた相川が、にこにこしながら歩いている。
明らかにこの状況を面白がっている顔だ。

「…まぁいっか…。えっと、地図ではこの辺りなんだけど…」

地図と町並みを交互に確認しながら歩くスピ‐ドを緩める。
家が沢山ありすぎて、一軒一軒表札を見ていくしかなかった。

「あ、ここじゃない?ホラ、池内って書いてるし…」

「ああ、ほんとだ…」

表札を確かめて家を見上げる。
綺麗で新しそうな一軒家だ。

ピ‐ンポ‐ン

インターホンを押してしばらく待っていると、女の人の声が応答してきた。

「はい」

「あ、あの…望月光です。…池内…じゃなくて、弘斗君いますか?」

「弘斗のお友達?ごめんね、わざわざ…。ちょっと待ってね‐」

ブツっという音とともに、家の中からバタバタと慌ただしい音が聞こえてきた。

ガチャ

「こんにちは‐」

…………

………


「…………え…?」
< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop