ただ…抱きしめて
キッチンの向かいにある、部屋のドア。


そこは、茉葵の部屋だ。


初めて連れて来た時のことを思い出すよ。


ただベッドしかない、空っぽの部屋。


それなのに君は、嬉しそうな素振りを見せていた。


使ってさえいなかったから、カビ臭い部屋なのだけど。


そんなことも気にはしていない。
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