ただ…抱きしめて
茉葵の話が堂々巡りを始めた頃。



それまで、何も言わず話を聞いていた義朗の雰囲気が変わる。



イライラを感じさせる溜め息を吐き、アクセルを踏み込んだ。



車は急にスピードが加速し、茉葵は不安を感じずにはいられない。



いつも温厚だった彼の突然の変化に、戸惑いを隠せなかった。



彼の横顔も見られず、ただ俯くばかり。
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