王国ファンタジア【ララミーの民】-ドラゴン討伐編-
王の振り分け
「まずい!寝坊しちまった!」
王都の民のテイシンはドラゴン討伐のための戦士の宿舎で飛び起きる。
「あら、もう日が高いわね」
隣で寝ていたはずのテイシンの友人で街娼のニッツーがシーツにくるまって起き上がって窓を開けて外を見ている。
「そんな格好で外を見ているんじゃない!うわさになるだろ?」
テイシンがニッツーの服を放ってよこす。
「王都中の人が知ってるわよ。テイシンが女たらしだって」
「あ~~、とにかく着替えてくれ、王の振り分けに遅刻しそうなんだよ」
テイシンは赤茶けた短髪をかきむしる。
昨夜、ニッツーやパン屋のパスコと飲み歩いて、気がついたら戦士以外泊めてはいけないことになってる宿舎にニッツーを泊めて、いつものような結果になってしまったのだ。
それから、しばらくしてテイシンとニッツーが着替えてドアを開けるとドアの前に縦ロールの赤毛でガラス玉のような瞳の少女が立っていた。