王国ファンタジア【ララミーの民】-ドラゴン討伐編-
一週間ほど歩いてやっと樹海が見下ろせる高台にたどり着いた。ここから下る道がひどく薄暗い樹海へと伸びている。そして、樹海の真ん中にエル・ウォルカンがそびえ立っていた。
「さて、どうしたもんかな?」
バサー!
上空をドラゴンが飛んでいる。
くるくると旋回して降りてくると女の子の姿になった。
「どうしたの?ぼーっとしちゃって?ドラゴンに怖気づいたとか?」
テイシンは地団太を踏んで
「そんなんじゃねぇ!樹海の中だとおれの大事な荷車がツタやら、下草やらにからまれて走れねぇって思っただけだ」
「小さくすればいいじゃない!簡単よ」
「お前ができるのか?」
「できるわよ。そのかわり…、耳かして?」
テイシンが女の子に耳を近づけると女の子は何ごとかをささやいた。
「わかった」
「ローズ、今夜はここに野宿しないか?」
「そうね、そうしましょう」
「私がウサギかなんか掴まえてくるわ」
女の子がさーっとドラゴンの姿に変わって空を飛んでいった。
「俺は水をくんでくるから、火をおこしておいてくれないか?」
「いいわよ」
テイシンは川を探しに出かける。
女の子はテイシンに何を話したのかしらと不思議に思ったが、夕食の準備を始めた。