王国ファンタジア【ララミーの民】-ドラゴン討伐編-
「昨日、隣の部屋だからついでに起こしに来てくれって頼まれたので起こしに来たんだけど…」
その少女、ララミーの民のフェニックスは何でも見透かすような透明な瞳でテイシンとニッツーを見つめる。
もしかすると声でも聞こえちまってたか?
「私は先に行くわよ、色男さん」
ニッツーがニヤリと笑ってフェニックスの横をすり抜けていく。
「昨夜のことは酔ってたから全然覚えてないだ。でも、起こしに来てくれてありがとな」
テイシンがそう言ってフェニックスの肩を叩こうとすると、その手は空を切る。
フェニックスは身をよじって避けていた。そして
「もう時間だから…」
と言ってくるりと後ろを向いて去って行ってしまった。
「ちょっとぐらいつきあってくれたっていいじゃないか!」
テイシンは地団駄を踏んだ。その足をハッと止めると
「おっと!こんなことやってる場合じゃなかった」
テイシンはドアをパタンと閉めると一目散に王宮に向かってかけ出した。