Love×Lovers~秘密の婚約者~
かすかに聞こえた声に振り返った。
後ろには玲羅先生が立っている。
「何か?」
『え?何も言ってないぞ??』
・・・空耳?
どれだけ先生に夢中なんだろう・・・
『西園寺さん、お久しぶりですね。』
会社のお得意様が声をかけてきた。
かなり年配の方で、私の嫌いじゃないタイプの人だ。
「ご無沙汰しております。いつも父がお世話になってます。」
にっこり微笑んで、挨拶をする。
私のせいで、お得意様を減らす訳にはいかないもの。
『こちらこそ!!おや、そちらの青年は?』
彼の目に止まったのは、玲羅先生。
「彼は、私の婚約者です。よろしくお願いしますわ。」
『初めまして、玲羅秦と申します。』