Love×Lovers~秘密の婚約者~
『お前の兄弟、すごいんだな。』
ぼそっと先生が呟いた。
『姉さんの婚約者は、熊澤コンツェルンの次期社長だろう?』
「うん。だから私も・・・彼だと思ってた。」
先生の方に顔を向けると、顔をしかめていた。
『・・・彼?』
「そのうち、話します。」
『・・・会場に戻ろう。西園寺家の人間が欠けてちゃ駄目だろう?』
「えぇ・・・」
『あ、あの人。まだ挨拶して無かったよな?』
先生の視線の先には、お兄様と仲良く話す人影。
「先生っ・・・!!あの人いいから!!」
顔を見なくても分かる。
後ろ姿だけであの人だと分かる。
あの人は、私が大好きだった人・・・
『でも・・・俺まだ、挨拶してないし・・・』
「あの人はいいの・・・お願い、やめて・・・」
あの人は・・・汐美誠(シオミマコト)さん・・・