Love×Lovers~秘密の婚約者~
私があまりにも拒否するからか・・・
先生は止まってくれなかった。
誠さんに声をかけた。
『あの、初めまして。ご挨拶まだでしたよね?』
お兄様と話をしていた誠さんが振り返った。
『初めまして・・・申し訳ない、どちら様ですか?』
屈託のない笑顔で振り返り、聞きなれた声で返事をした。
誠さんは少しも変わってない。
変わった事と言ったら、髪形と雰囲気ぐらいだ。
優しい雰囲気は変わんなくて、上に立つものの雰囲気が備わっている。
お兄様が私の方を見た。
私はお兄様に頷きかえす。
きっとあの後、お姉様が話してくれたんだ。
『玲羅学園の玲羅秦と言います。あなたは?』
『私は、汐美財閥の汐美誠と言います。失礼ですが、なぜこのパーティーに?』
あぁ、分かってしまう。
遅かれ早かれ知られてしまう事だけど、先生本人から言って欲しくなかった。
誠さんは私がいる事に気付いてない。
先生の影に入ってしまってるから。