Love×Lovers~秘密の婚約者~
『このまま抱きたいけど・・・行かなきゃな。』
しばらく抱きしめられていた。
手を強く握り合って・・・
「先生・・・絶対、手を離さないでね?」
私が言うと、先生は強く手を握り返してくれた。
『可愛いこと言うんだな?・・・絶対離さないから、安心しろ!!』
繋いでいない方の手で、お父様の部屋のドアを叩く。
『失礼します。』
先生の声、少し震えてる・・・
部屋に入ると、肘掛ソファにお父様が。
その側に誠さんがこちらに背を向けて立っている。
誠さんに習って、お父様の側に立つ。
次の瞬間、繋いでいた手が離された。
それと同時に先生とは逆、つまり誠さんのもとへ引き寄せられた。
ううん、違う。
先生に離されたんじゃない、“誠さんに”離されたんだ。
『ちょっと!!何して・・・っ!!』
先生の怒鳴る声と、誠さんの微笑が被った。