Love×Lovers~秘密の婚約者~


―秦side...


悠梨愛は、汐美さん・・・誠さんのお父様の話を聞いて俯いてしまった。


さっきから固く握りしめてくる手を握り返すが・・・



悠梨愛は不安で押しつぶされそうだ。


俺と誠さんに板挟みになってしまっているんだから、当然か。



でも俺は悠梨愛を譲るつもりは毛頭ない。


やっと・・・やっと気持ちが通じ合ったんだ。


ようやく、悠梨愛の口から『秦が好き』という言葉が聞けたんだ。



スタートしたばかりの“ふたりの幸せ”を失くしたくない。


俺たちはまだまだこれからなんだ。



それにしても・・・


いくら汐美財閥だからと言って、悠梨愛は怯え過ぎじゃないか?



誠さんのお父様の話が出た時は特にだ。


いや、怯えているというより、“ヤバイ”・・・


そんな顔だ。



『悠梨愛、秦君、もう下がりなさい。』


そう言われて、悠梨愛と部屋を出た。



そしてドアを開ける。


“俺たちの部屋”のドアを。


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