Love×Lovers~秘密の婚約者~
『ここじゃなんだ。屋上へ出よう。』
私は、その言葉に従う事しかできない。
「笙・・・話って?」
ネクタイを緩めて、フェンスに身体を預けている。
笙は私を見上げると、真面目な顔をした。
『お前、兄貴と婚約してるんだろう?』
やっぱりそんなこと?
だろうと思った。
でもね、笙、その情報は間違ってるよ。
「確かにそうだったみたい。でも、婚約はしてないの。」
『・・・何だって?』
「私の婚約者は、誠さんじゃない。」
どうして笙に間違った情報が流れてるのか。
そんなこと分かんないけど・・・
私の婚約者は玲羅先生。
私は先生と婚約破棄する気も、誠さんと婚約する気もない。
『その口調・・・婚約者はいるのか・・・』
「・・・いるよ。まだ発表はしてないけど。」