スキ、だけどキライ
無我夢中で走り続け、やっと学校についた。
そこには右肩を抑えてうずくまる颯太の姿があった。
「肩‥痛めたのか?」
『な、なんでもねえよ』
あたしに気づいた颯太は何もなかったかのように立ち上がり再び投球練習を始めた。
ビュッ ビュッ
いつも心地よく聞こえる音が今日は苦しそうに聞こえる。まるで、颯太の心の叫びのように。
「も‥う止めろよ。いいじゃん、か。甲子園に行けなくてもさ」
『うるせえんだよ!!!お前にはカンケーねえだろ。ほっといてくれ』
初めて颯太に怒鳴られた。
初めてあんな颯太を見た。