スキ、だけどキライ
『あの日‥宏太は俺を迎えに来てくれて。もうちょっとって言う俺を待っててくれたんだ』
『帰ろうとしたとき、風で帽子が飛んでさ。それを取りに行った俺の目の前にトラックが突っ込んできた』
『それを庇って‥宏太は死んだ』
颯太の声が震えているのがわかった。
宏ちゃんが死んだ日‥それは甲子園決勝戦前日だった。
颯太を迎えに行ったっきり、帰ってこなかった。
今までずっと‥颯太を恨んでいたのに‥
今あたしの目の前にいる颯太を
恨むことはできなかった。