【短編】恋多き男くんっ
「おかえりー」
やっと戻ってきた蓮くんの姿を見て、あたしはそう呟いた。
すると無言のまま蓮くんはあたしを見つめる。
……?
「どうしたの?」
何か……静か。
聞いてみるけど、蓮くんはどこか寂しそうな顔であたしを見つめ続ける。
う……っ。
何でそんな見んのー?
あたしはフイッとその視線に堪えられなくなって視線を逸らした。
すると蓮くんは両手を拝むように重ねて頭を提げた。
「ごめん」
「え?」
キョトンとすると、蓮くんはあたしを見つめて口を開いた。