【短編】恋多き男くんっ
駄目だ……。泣く。
あたしは顔を隠しながら席を立つ。
そして教室を出た。
すると教室の前に、朝蓮くんと話していた女の子が立っていた。
あたしの存在に気づいた女の子は、あたしに話し掛ける。
「佐久間君いる?」
あぁ。
この子も蓮くんの事好きなんだ。
女の子の顔を見てそう思った。
あたしは俯きながら答える。
「中に……いるよ」
よかったね。
蓮くん……。
蓮くんも冷めてないみたいだし。
この子となら大丈夫だね。
教室から出てきた蓮くんに話し掛ける女の子を見て、絶えられなくなったあたしは早歩きでそこから離れた。