【短編】恋多き男くんっ
人通りの少ない屋上につながる階段まで来た時。
「めぐり!」
あたしを追い掛けてきた蓮くんが大声であたしを呼ぶ。
「話し途中だったんでしょ?何で来たの?きっとあの子困ってるよ」
「めぐりの方が心配だよ!」
何でそんな事言うの?
お願いだからあたしの中にこれ以上入ってこないで。
「別に何でもないよ」
冷たく背を向けたまま言うと、蓮くんは否定する。
「何でもない訳ない。泣いてるじゃん」
お願いだからあたしにこれ以上優しくしないで。