キミにサヨナラをする。



「とりあえず…あがりなさい…。」



「……」


俺は無言で家に上がった。




ふわっ





部屋に上がった瞬間、うっすらだけど、心愛のにおいがした。



『ゆぅ♪』




心愛の声がした気がした。




たった数週間会ってないだけなのに、愛しい。



苦しいくらい会いたい。




いやなんだ。

キミが隣にいないのは。



キミが隣にいて初めて、俺が“武内優志”になる。


心愛がいないと俺、だめだよ…




涙が出てきた。

一筋なんかじゃない。
まるで滝のように、大粒の涙が俺の頬を伝う。



俺はもう、止めることはしなかった。

この涙が雨となり、心愛の元へ届く。
そんな気がして…。










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