くつひも
デザートも平らげ、勘定を済まそうと思った頃には店内には俺しか居なかった。

おーい。閉店時間まで3時間くらいあるぞ?

んで、正面には暇そうに此方を眺める魔女と有坂さん。

おい、店員。客ガン見たぁどういう了見じゃ。

「ねえねえ、ツッコミさん。」

おい、魔女。俺を勝手にあだ名で呼ぶな。ってか他にないのか。

「はいはい。魔女ならピザでも貢いでちょーだい。…ね、もうお帰り?」

えぇえぇ。仕事もありますんでね。

「ダメだよ、くるみちゃん。お客さんには敬語使わないと。」

「いいのよ。黙ってなさい、枕。」

「ま、枕って言うなぁ!ってぁ…ダメっ!」

「ふふ…可愛い子ね。」

あの…もしも~し?

目の前では相手の顎先に手をかけ顔を近づける魔女と、それを嫌がりつつも従って仕舞う有坂さんの姿が展開されていた。

母上様、百合の花が満開です。

「はいはい。じゃ今日の会計。…はい。どうも。あ~それから。アンタもう常連認定だから、ちゃんと顔出してね。定期的に。」

…どのくらいの頻度で?

「1日に一回。」
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