雪に埋もれた境界線
「では、私はこれで失礼致します」
川西はそう云うと湯船から出て行った。
陸は溜息を吐き、両手でお湯を掬い顔にかける。
どのくらい湯船に浸かっていただろうか。少し頭がくらくらする。のぼせたかな。
湯船からゆっくり出ると脱衣所で着替え、部屋に戻った。
部屋に戻った陸は、机の上に置きっぱなしにしておいた、疑問点などを書き綴ったメモをズボンのポケットにねじ込むと、木梨の様子を見に行った。
木梨の部屋の扉をノックすると、掠れたような声が聞こえ、待っていると扉が開いた。
「ああ、陸君か。さっきは意識が朦朧としていてね、ベッドに私を運んでくれたお礼も云えなかった。ありがとう。今は大分良くなったよ。まだ痛みがあるけれども」
木梨は頭を片手で押さえながら、時折顔をしかめて痛そうにしている。
「木梨さん、誰に殴られたか犯人を見てはいないのですか?」
「ああ。何せ部屋の鍵を閉め忘れていたものだから、ぼんやりしているうちに背後から殴られたって感じだったよ」
「そうですか。立ち話しも何ですから、これで失礼します。木梨さん、鍵をかけて横になって下さい」
「気を遣わせてすまないね。じゃ、また明日の朝食にでも会おう」
扉はパタンと閉まり、廊下には陸だけがぽつんと立っている。
そして、陸はポケットに片手を突っ込みながら図書室へ向かった。
図書室は陸の部屋の前にある。
図書室の扉を開けると、真っ暗だったので、手探りでスイッチを入れると室内を見渡した。
うわ〜、膨大な本の数だな。ジャンルごとに棚が分かれており、左側には高級そうなチェストがあり、その上には例の動物らしきオブジェが飾られていた。室内には丸いテーブルが五つ、それを囲むように椅子とソファが設置されていた。ゆっくり本が読めそうな雰囲気だった。
陸は奥の右側のテーブルのソファに腰掛けると、ポケットから取り出したメモをテーブルに置いた。そして、一通り図書室にある本を見ていったのである。
川西はそう云うと湯船から出て行った。
陸は溜息を吐き、両手でお湯を掬い顔にかける。
どのくらい湯船に浸かっていただろうか。少し頭がくらくらする。のぼせたかな。
湯船からゆっくり出ると脱衣所で着替え、部屋に戻った。
部屋に戻った陸は、机の上に置きっぱなしにしておいた、疑問点などを書き綴ったメモをズボンのポケットにねじ込むと、木梨の様子を見に行った。
木梨の部屋の扉をノックすると、掠れたような声が聞こえ、待っていると扉が開いた。
「ああ、陸君か。さっきは意識が朦朧としていてね、ベッドに私を運んでくれたお礼も云えなかった。ありがとう。今は大分良くなったよ。まだ痛みがあるけれども」
木梨は頭を片手で押さえながら、時折顔をしかめて痛そうにしている。
「木梨さん、誰に殴られたか犯人を見てはいないのですか?」
「ああ。何せ部屋の鍵を閉め忘れていたものだから、ぼんやりしているうちに背後から殴られたって感じだったよ」
「そうですか。立ち話しも何ですから、これで失礼します。木梨さん、鍵をかけて横になって下さい」
「気を遣わせてすまないね。じゃ、また明日の朝食にでも会おう」
扉はパタンと閉まり、廊下には陸だけがぽつんと立っている。
そして、陸はポケットに片手を突っ込みながら図書室へ向かった。
図書室は陸の部屋の前にある。
図書室の扉を開けると、真っ暗だったので、手探りでスイッチを入れると室内を見渡した。
うわ〜、膨大な本の数だな。ジャンルごとに棚が分かれており、左側には高級そうなチェストがあり、その上には例の動物らしきオブジェが飾られていた。室内には丸いテーブルが五つ、それを囲むように椅子とソファが設置されていた。ゆっくり本が読めそうな雰囲気だった。
陸は奥の右側のテーブルのソファに腰掛けると、ポケットから取り出したメモをテーブルに置いた。そして、一通り図書室にある本を見ていったのである。