春陽
それを見た千理は優しく微笑みながら、ミルクティをキッチンに戻してから居間に戻った。
「待ち疲れたかな…。色々…」
何気なく優里の顔にかかった長い髪を耳にあげると、今朝見た頬の痣が少し色を変えてそこにあった。
(痕が残らなければいいけど…)
優里の呼吸が深くなるのが聞こえた。
どうやら深い眠りに就いたようだ。
(よっぽど疲れたんだな。こっちに移すか)
千理は優里を気遣いながら抱っこした。
優里の顔が近くに来る。
(なっ…これは…)
千理は少し咳払いをしながら優里をベッドに移した。
…まだ起きない。それ所か眠りは深くなるばかりだ。