春陽

家に入ると、竜也はまだ眠っている様子だった。

買い物袋の中身をしまい終えると、竜也の薬袋を確認した。

(また薬が増えてる…大丈夫かな…)

薬袋の中には様々な種類の薬が詰まっていた。お医者様が判断したのだから、安易に意見する事はできないが…

昨日の甘えさせて貰った自分を思い出し、

竜也が安らげるのに何が必要なのかを考えていた。


ぼーっとしている内に、竜也が階段を下りる音が聞こえた。

「おはよう…」

ぼーっとする竜也に優里は笑顔で答えた。
「おはよう、ご飯あるよ。良かったら食べて」



「……。」

何も言わぬまま竜也は食事をし、そしてまた二階へ行った。


休日にはよくある光景だ。竜也の茶碗に米粒が残っていないという事を除いては。


気まぐれなのか分からないが、優里は少し嬉しくなった。


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