春陽
(昨日の人…居ないと良いけど…)
昨夜、近くの踏切で自分を制止した男の事を思い出し、
バッタリ会ってしまわないかと考えながら通学路を歩いていた。
(…出来れば今日は会いたくない…説教事が並びそうだし)
そう思い、昨晩の踏切まで来ると急に声が降ってきた。
「あれ?君!」
男の声が優里をか細い神経に響く。
「えっ…あっ!」
偶然の再会に、最悪のパターンと言わんばかりに顔を引きつらせ、固まってしまう優里。
頭の中を昨夜の出来事が駈け巡った。