春陽
穏やかな1日
朝、優里は何かの物音で目が覚めた。
何かあったのかとも思ったが、よく耳を澄ませると、直ぐにそれが生活音である事を把握した。
洗面所で身なりを整えているだろう、ドライヤーと水の音。
優里は起き上がると、一階の洗面所へ向かった。
「おはよう、お兄ちゃん」
「お、おはよ」
そこにはせかせかと支度をする竜也の背中があった。
少しだけ、嬉しさを感じつつ優里は台所へと足を運ぶ。
きっと竜也は朝食を食べてはいないだろうからと、簡単な食事を作ろうとしてだった。