春陽
一方、千理の方は待ち合わせより何故か大分早めに来てしまったので、駅前のカフェで時間を潰す事にした。
いつものブレンドを飲みながら少し考える。
(全く…相手は中学生だぞ。恋愛対象に出来るか…)
周囲の影響のせいなのか、昨日からそんな事をうっすら考えていたらしい。
少しずつ優里を意識している自分を、心の中で説き伏せるように無意識に思考パターンが成立していた。
「ふー…」
ため息をつくと、千理は既に自分が恋愛対象として優里を見るか見ないかと考えている事自体が危うい思考であると気付く。
(俺はただ…あの子が死にそうになってたから…助けたかった…だけだ。人助けしたか…ん?何言い訳してんだ俺…)
「は~…」
千理は再び溜め息をついて店の窓から外を眺めると、こちらに歩いてくる優里の姿を見つけた。