春陽
動物園へ着くまでの一時間、車内では賑やかな会話が絶えなかった。
今日1日くらいは…と千理が気遣ったからか、優里も楽しく過ごそうと朝決めたからか、明るい雰囲気が2人を包んだ。
「もう、連れ子って何ですか(笑)連れ子狼じゃあるまいし」
「お、よく知ってるね!俺はあの近衛右門が…」
「また誤魔化しましたね」
「間違えたんだって、いい加減にそのネタ忘れな(笑」
心から楽しく話す優里に、愛おしさを無自覚に感じていた事にまだ千理は気付いていない。