春陽
「うわぁ、広いですね…」
着いた先の動物園は割と有名な所だった。遊園地も一緒になっているので、端から端まではとても行ききれそうにない。
「今年また新しい動物が来たらしいな、トラとか、パンダとか」
「そうなんですか、楽しみです!」
…千理は子供のように目をキラキラさせる優里に耐えられない。
笑いを堪えながらチケットを買いにいこうと促した。
「…何が面白いんですか…?」
「…別に(笑」
と言っている間に千理が2枚分のチケットを買い、1枚を優里に手渡した。
「え?あ、払います!」
焦って財布を出そうとする優里を千理は制止した。
「いいよ、君のお金は親御さんから出たお金だからさ。大事にとっておきな」
「あ…ありがとうございます…一生懸命楽しませて頂きます!」
優里はぺこりと頭を下げて丁重にお礼を言った。