春陽
千理はクスクス笑いながら、優里の手を引いたまま馬の居る広場の前まで歩くとそこで立ち止まった。
「ほら着いたよ」
「え?あ、馬…。か、可愛いです…何で行きたいって分かったんですか?」
「ん、何となく。さっきお茶飲みながら馬の方見てた気がしたから」
…察しが良いとは正にこの事。なかなか気遣いが素晴らしい。
きっとこんな人がモテるんだろうな…と優里は思った。
それと同時にまだ手を繋いだままだと言う事にも気付く。
恥ずかしくてすぐに手を離したい衝動に駆られたが、離してほしい言う事もまた意識するようで恥ずかしく感じ、言えなかった。