春陽
朝…学校に着くとすぐ音楽室へ向かう。
音楽室は更にひんやりと冷えていた。木の匂い、古びた楽譜や教本の匂い…
ピアノに触れると冷たいが、今日は何を奏でるの?と言わんばかりの温もりを感じさせた。
何曲か弾くと、今日は恭平も顔を見せなかったのもあり、優里は早めに教室へ戻った。
教室は賑やかだった。期末テストの話、冬休みの予定の話、噂話…
(きっとずっとこの輪の中に入る事は無いのかな)
ずっと優里はそう思っていた。そう優里が思う決定的理由は…話が合わないからということにあった。