春陽
「倉科さん…?」
そんなぼーっとしていた優里に声をかけたのは、先日優里にノートのコピーを渡した滝沢だった。
「え、滝沢さん…。あ、この前はコピーありがとう」
「ううん、倉科さんずっと休んでたからさ。いつもお世話になってるし」
ニコッと爽やかな笑顔で言う滝沢 香。
優里は首をかしげる。
「私…何もしてないよ…?…ん?」
「知らないと思う、俺、陰から聞いてるから(笑)
…念の為先に言っておくが、滝沢 香は女の子だ。
「んー…何だろ。聞いてるって…もしかしてピアノの事?」