春陽


「…あ…。ま、まだ決めてないんだ…。」

その一瞬躊躇するような素振りをする優里を、香は見逃さなかった。


「…そっか、また…あ、今度はちゃんと聞きに行くよ。楽しみにしてる」


そう香は言うと席に戻って行った。


痛い質問はされたが…


少なくとも、誰かが自分の奏でる音を気に入ってくれる事は

優里にとってはとても嬉しかった。


そして…賑やかな時間は終わり、厳粛なHRが始まった。


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