春陽
優里の家の前に着く。
どの部屋が優里の部屋なのか分からないので、軽く一回りする。
取りあえず、家は静かな様子だが…。
一応もう時間は遅いので寝ている可能性もあると考えた千理は帰る事にした。
(やっぱ…何にも無かったのか。俺の勘違いか…)
…が、胸の奥のざわざわとした物が消えない。
ふと空を見上げると、冬の済んだ空気に輝く星空に目を奪われた。
千理は気分転換に星を見に行こうと、自転車の向きを変えた。
(明日は早いが、星でも見て帰ろうか…)
自転車で一走りする事にした。
空気が頬を切るように冷たいが、今はそれが心地良い。