春陽
千理の家に着くまで、優里は一言も話せなかった。
千理も…無理に話しかけなかった。
家に着き、千理がクローゼットからタオルとドライヤー、服を取り出し渡すと、優里に言った。
「シャワー…使いな。鍵は脱衣所でかけられるから。服、とりあえずそれ使って良いよ。後、お母さんの携帯に連絡だけ入れておきな。」
「ありがとう…ございます…あの…すみません…」
優里はお礼を言うと、バスルームに消えた。
千理はスーツを脱いで部屋着を切ると、温かいお茶の準備をした。
そして、今日高台を通った事に改めて良かったと思うのであった。